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精進料理を縁として  緑陽組 雲晴寺住職 甲斐孝文 [2016年1月1日(第122号)]

精進料理のお接待は、多くの寺院で御正忌報恩講や葬儀後の礼参法要の折になされる場合が多いことでしょう。当寺におきましても礼参法要の料理をしばらく外注した時期がありましたが、25年程前より手作りに戻してお接待をさせて頂いています。坊守と数名のお手伝いの人で当日の朝からせわしく準備をするのですが、時として用意が間に合わずお勤めの時間を長めにして欲しいと依頼があることもありました。

しかし、そんな礼参法要の中で「悲しくても美味しいと食事をすることができるのですね。お陰で少し元気になれたような気がします。」と寂しさの中に微笑みを浮かべて声をかけて頂いたことがありました。このような出来事が手作りを続ける励みとなっています。

礼参法要の接待の折に「次の満中陰法要にも精進料理を作って頂けますか。」と依頼を受けて作り始めたのが20年程前からであったでしょうか。その後は次から次へと依頼を受けるようになり、お寺を使っての年回法要も次第に増えてゆきました。しかし、今でも料理を準備する度に坊守は何を作ろうかと頭を悩ませ、迷いながら、工夫、模索を繰り返しているようです。新たな食材を探し、麩やソイミートを使ったもどき料理や、創作精進料理と試作を続けながらも未完の提供のようです。

その年によって精進料理のお接待の件数は異なりますが、近年は礼参法要、年回法要を含めて年間80件を超える程となっています。

調理のスタッフは参詣の人数次第で二名から五名程のお手伝いを頂きながら坊守を中心として準備に当たっています。精進料理のお接待を始めて25年、その間スタッフも当然世代交代を繰り返し替わってゆきました。しかし、いつもほぼ定着したメンバーが出来て、チームワークも良く笑顔で台所に立ってもらっています。

お接待の中で「私も精進料理を習いたい。」と多くの声を頂くようになり、昨年より精進料理教室を開く事となりました。

毎月、最終火曜日午前10時より20名から25名程の会員が集まり、坊守の考えた7品程の精進料理をレシピに従い作り、出来上がった料理をテーブルに並べて楽しい会食の時間をもっています。

また、夏休みには親子料理教室、冬休みには親子お菓子作り教室を開き、料理を通しての集いの場も増えてお寺を身近に感じてもらっているようです。

精進料理教室のほかに35年間続いている毎月10日の夜の法話会(寿光会)、昨年より始まった毎月一日の歌声クラブ、第二・第四木曜日の手芸クラブ、十七日の写経くらぶの例会を開き、それぞれに興味をもった会員が集まって活動をしています。

その会の折にご門徒より頂いた野菜等を使い、坊守が試作の精進料理を用意して、会員の差し入れの品も添えて茶話会の時間にお出ししています。皆さんのご意見を聞かせて頂く絶好の機会としているようです。

昨年12月には第一回の「雲晴寺・法話と文化祭」を開催しました。法話・それぞれの会の発表・展示・体験コーナー・バザーコーナーを設け、昼食には精進料理のバイキングを用意しました。今までになかった新しいお寺の催しに多くの人が集まって頂きました。

精進料理をご縁として、様々な催しが始まり、これまでご縁が薄かったお方もお寺へ集う機会が増えて、お寺との新たな接点が生れています。

多くの人達にお寺の敷居をより低く感じて頂けるように、これからも活動を続けてゆかねばならないと考えています。



お寺ごはん

お寺ごはん

  • 作者: 青江 覚峰
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2012/11/14
  • メディア: 新書



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