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軍隊のない国コスタリカから学ぶ  中山高光(熊本県原爆被害者団体協議会事務局長) [2005年1月1日号(第78号)]

 昨年夏に「軍隊を廃止した国・コスタリカ」を訪ねました。日本では平和憲法が守られずに海外派兵までやられ、憲法9条を廃止しようとする動きも強まり、それを許さないたたかいを取り組んでいるが、「非武装・中立」がいまいち核心にならない点があり、コスタリカではどうやっているのか知りたかったのです。

 日本でも実現できる
 コスタリカは、日本より二年後、1948年に軍隊を廃止し、翌年に憲法でそれを確定しております。しかもその後、「非武装・積極中立」政策を五十五年間も守り通しており、本当に軍隊がないのです。ホテル従業員やタクシー運転手も「軍隊はいらないよ」と笑って応えます。国民的な自信になっているのに感動しました。同時に、私たちが憲法9条を守り実行しようとしている政策は道理があり、実現可能であることに確信をもつことができました。

  教育と医療無料化
 コスタリカは、軍事費を無くして国家予算の三割(現在二・五割)を教育費に当て、義務教育費を無料にして識字率も先進国並の九二%に向上させ、医療の無料化も実現し、アメリカからも移住してくる人があるとのことでした。

  全ての難民を救済
 国土は九州と四国を合わせた面積。人口は400万人近くで約100万人はニカラグアなど近隣諸国からの移民です。「コスタリカ領土は政治的な迫害を受けたすべての者に対する政治的避難所である」と憲法にうたい、難民を救っており世界の諸国民に対するこの信頼と寛容さが軍隊廃止と一体になっています。

  どうして軍隊廃止を
 貧困と内戦の多い中南米で、この小国がどうしてこの偉業を?、一番知りたかったのはそれでした。
 1948年2月の大統領選挙で、対ニカラグア「平和的対話外交」をかかげた野党ウラテ候補が勝利したが、「アメリカ追随で対ニカラグア強硬政策」の与党が議会を巻き込み「選挙無効決議」で野党側を追放しました。これに野党側フレゲレス司令官らが武装蜂起して「軍要塞」を占拠、臨時政府を樹立し、第二次共和制発足式典(12月1日)で「軍隊はしばしば独裁体制によって国民を力づくで抑圧してきた、我々は民主的な話し合いの道を選ぶ、政権維持のための武器はいらない、不用なものは今日限りとする」と軍隊を解散したのです。翌年11月7日に「恒久的制度としての軍隊は禁止する」の憲法を制定し、軍隊のない国にしたのです。

  軍隊廃止はかねての願い
 関係者の話によれば「武装蜂起の中心になった若者たちはかねてから『都市と地方の貧富の格差、不公平の是正などに費用が必要なのに、戦争に費用をかけるどのような意味があるのか』と論議を重ねていたもので、フイゲレスの率いる武装蜂起は夢を持った若者らに支えられて成功したもので、常備軍廃止は彼らの論議の延長線上のもの」と説明されています。この話しは高齢になった私の胸を若き日の熱い夢で揺さぶるに十分なものでした。9条を守る運動に立ち上がる熊本の若者たちにも熱いエールを送りたいと思います。

  積極的な中立政策
 コスタリカの中立は「積極中立」で、中立を貫きながら隣国で紛争があれば双方に『対話での解決』を呼びかけ仲裁に当たります。
 1979年に隣国ニカラグア内戦のとき、アメリカ・レーガン大統領が経済援助と引き換えに軍事協力を求めたが、モンヘ大統領は『中立宣言を世界に発して各国の支持をとりアメリカの介入を抑えました。そのあとニカラグア内戦の双方調停に当たり平和協定を実現し、ニカラグアは1990年に8万の軍隊を15000に減らしています。南の隣国パナマとも話し合い、同年にパナマも軍隊を廃止し、それを根拠に1999年には米軍基地も撤退させ、パナマ運河の自主管理をなしとげています。

  憲法を守る国民運動が支え
 そんなコスタリカでも、対米追随政権が生まれ、政治家汚職も繰り返し起こり、選挙の争点になり、国民の選択で乗り越えています。最近では2003年3月に親米パチエコ大統領がアメリカのイラク戦争の支持署名、コスタリカが『有志連合』に名をつらね、国民の抗議運動と学生や弁護士の提訴で最高裁が『違憲』判決、政府がアメリカに撤回通知を出しています。
 日本でも、「アメリカ追随の憲法改悪」を打ち破る国民的たたかいこそ重要であると思います。(熊本市桜木在住)

平和をつくる教育―「軍隊をすてた国」コスタリカの子どもたち

平和をつくる教育―「軍隊をすてた国」コスタリカの子どもたち

  • 作者: 早乙女 愛, 足立 力也
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2002/08
  • メディア: 単行本


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囀笑法師

コスタリカは超貧乏ゆえに自国の命運を手放した。
コスタリカのGDP比で100倍以上金持ちの日本が、
無防備マン宣言など絶対許されない。


by 囀笑法師 (2018-07-14 19:13) 

囀笑法師

願えば叶うと思うのはお花畑思考ですよ。
世界の標準は「殴られたら殴り返す」です。
人間サンドバックのお花畑思考は勘弁してください。
その思考は浄土真宗本願寺の教義の中だけにしてください。
浄土真宗本願寺の枠組みから外れるならば、
自身で有言実行してください。
安全な日本国内の寺の中で発信するのは卑怯です。
ぜひ、海外で発信してください。
by 囀笑法師 (2018-07-14 19:35) 

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