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災害ボランティアで見えたこと―情報―   天草上組 観乗寺衆徒 森島淳英 [2016年10月1日(第125号)]

子どもの頃「考えて行動しなさい」そういわれた経験がある人は多いのではないでしょうか。私もその一人です。大切な事ではありますが、想定外の災害の中で行われるボランティアでは必ずしも正しいとは思いません。なぜならすべてが想定外だからです。

最初の余震があった14日夜は上天草市の消防団の操法訓練中でした。訓練終了間際に団員の携帯が騒ぎ出し、その後地面が大きく揺れだしました。震源地は益城町。連れ合いの実家近くでもあり、帰熊当時から勉強会などお世話になったご縁の多い地です。しかし、今思うと気にはなりつつも現地の友人に電話したのは次の日でした。もう少し落ち着いてから、状況を確認してから、電話が混雑するかもしれないから、そんな「考えて行動しなさい」が一本の電話を遅らせたのだと思っています。

次の日、居てもたっても居られなくなり、震源地近くの友人に電話をしました。「○○さん、地震はどんな状況ですか」すると返事は短かく「すぐに来い」「わかった、すぐ行きます」やっとやるべき事が決まったのです。その日は沼山津の二ヶ寺の仏具搬出を夕方までおこないました。ほかのお寺も気になったので「あそこのお寺はどうなったか知ってる?あそこは?」と聞くと「わからん」と返事が来ました。なるほど、緊急時は現地でも情報がないのです。

東日本の震災時のボランティアと比べてあくまで主観ですが、一番活躍したのは携帯電話だったと思います。特にスマートフォン向け無料通話アプリのLINE(ライン)やフェイスブック(SNS)などは絶大な力を発揮しました。本震が起きた16日は通常の通話ができない中にもLINEでは通話や通信が可能であったし、またボランティアを行う時も、特定のグループ内での情報交換はLINEを使い、不特定多数へ情報交換にはフェイスブックで情報収集・発信を行いました。

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Facebookでの情報交換

地震発生時より益城町などの大規模避難所にはテレビ局が入り大きく報道された為、食料の物資などは大量に届けられていたようです。しかし、その後の被災者への分配がスムーズに出来なかった為に、腐らせてしまった支援物資なども報道され「せっかく送っても腐らせるなら物資は送らない」などの声も携帯を使って多く寄せられました。また阪神淡路の震災を経験した方より「災害時はビタミン不足になるからフルーツを送りたい、しかし確実に被災者の口に届けてくれる人を探している」と友人を通じて依頼があったのも、携帯電話のネットワークでありました。

震災を経験して気づかされたことは、全国の方々が電話やメールで連絡や物資や支援金を送って下さり、何かお役に立ちたいと思っておられるということでした。地震という逆縁ではありましたが、こんなにもつながりの広さを実感できたことは尊いご縁でもありました。

その全国の支援者と被災地を結ぶお手伝いができればありがたいと思い、そのために正確な情報を収集しスピーディーに発信する必要がありました。

物資を避難所へ届けに行くと、カップ麺のように多すぎる物資と、消臭スプレーなど足りなくて困っている物資がある事が解りました。しかも避難所ごとに状況が違い一日で大きく変わる為、テレビなどのメディアで現状を細かく伝えるのは困難であったと思います。地震発生8日目には大手コンビニの店頭に食料が通常どおり回復し、一週間前後での状況の変化の速さに驚かされ、物から人へニーズが変わることも実感しました。正確な情報がなければ活動も出来ないのです。

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次男と元担任の先生久しぶりの再会

今回は個人的な情報網を使って活動しましたが、教区としても正確でスピーディーな情報網の構築が急ぎ必要だと思います。災害時は情報が大事です。ホームページで発信する事では間に合わない時代です。 

ボランティアとは「自主的に無償で奉仕すること」と辞書にはあります。語源をラテン語で「火山」とする説もあるようで、私は心から熱くこみ上げる衝動に駆られて行動する=「ボランティア」と理解しています。実際に活動するためには、被災者のニーズに沿って迷惑にならないようにするなど活動の心構えを知り「考えて行動する」事は必要不可欠なことですが、何よりも大切なのは「何かできることはないでしょうか」という火山(おもい)なのだと思います。まず「行動しながら考える」事が大切だと今回のボランティア活動が教えてくれました。
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