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護持口数問題①  善正寺住職 禿浩道 [2005年1月1日号(第78号)]

 昨年12月21日第二十八回熊本教区護持口数調整委員会が開かれ決着しました。

 この解決では充分ではありませんでしたので直ちに二年後の見直しに向けて熊本教区護持口数調整委員会内に小委員会が設置され今後の取組みにつき話し合われ始めました。

 熊本教区と同じく他教区でも短期間に見直ししようとする所があり、本山も二年後の見直しが必要という論調があるとの事です。中央護持口数調整委員会委員長木下慶心宗会議員の足元の八代組は公開された報告数は正確で誇りをもっている主旨の発言をされました。

 28回にわたり話し合われた委員会の中では熊本教区が変われば他の教区も変るのではないかという意見も出ていました。八代組が誇りという言葉で胸をはったように、二年後の解決の折には、熊本教区が胸をはれる立派な解決でなければならないと思います。

 そのような解決に向けて、教区内全寺院が真剣にご一緒にこの問題の様々な課題について考えるシリーズを「こだま」で企画します。この企画へ御意見を寄せて下さい。

 皮切りにどのような課題があるのかを問題提起させて頂きます。
(イ) 本願寺が調査する度に護持口数が減少する課題。
(ロ) 門徒の方々を民力という物差しで差をつける課題。
(ハ) 「拓く伝道」「お念仏の和を拡げる」事と実数との関係課題。おおまかに以上のような課題があると思います。

(イ) の問題点。十数年以前本山より総務が出張してこられ、教区内の門信徒も集会した会合の中で、総務に質問が出された時「残念ながら調査する度に護持口数は減少する」という事実の答弁がなされました。重苦しい空気がただよいました。

 今回の委員会の取組みの中で調査の度に護持口が減少するという原因が見えてきました。つまり門徒実数が減少しているのではなく護持して行ける口数を問うという有り方が駆け引きを生み僧伽らしくない思惑が展開される故に減少への歯止めがかからない現状となっています。教区で取り組みましたのは各寺が過去三年間門信徒として維持費を納入頂いた数を出し、その平均値がその寺の門徒数と見て(この見方をB案と申していました)組長を通じて報告したものが昨年七月二十二日公開されました。それを閲覧の上どうお考えなさるでしょうか。この報告に表れた数字は門信徒実数の十割の組、八割の組、現護持口のまま等B案に添うていないと思われる組も有ります。このような駆け引きが起こらなくなる方法は護持口という発想を止めて、門信徒の実の戸数を問い、その戸数で宗門を護持するという有り方にすれば僧伽らしい解決がなると思われます。

(ロ) の問題点。値弘誓の門徒は平等ではないのか、という事です。念仏の価値観に立つべきだと思います。宗祖が値を値(もうあ)うとお読みになられる左訓のおこころは、如来の価値と一生造悪の衆生の価値が弘誓によって吊り合うからそうお読みになられている。そして御同朋御同行と接して下さった。滋賀教区が年間にご門徒一戸へ六万円賦課しているという、信心の力が年間六万でもよしとする思いを生んでいると思われます。民力という発想ではそれ程の金額は出されないだろう。

(イ)の問題が門徒の実数をだしあう形で解決するならば現口の熊本教区の護持口数より三倍近く跳ね上がると思われます。小国の場合現396口が実数を出した結果2023戸となりました。約五倍上がりました。熊本教区は第二十八回委員会で驚きと歓迎の入り混じった報告にあいました。現二三〇口の寺院が五百口を引き受けるという報告です。全組全寺院が十割の門信徒を申告すればこのようなケースが他にもあると思われますので、おそらく四倍、低く見て上記のように三倍ぐらいの戸数にはなると思われます。従って倍化された分、本山から熊本教区への賦課が今迄どおり倍化されない限り門徒一戸当ての本山からの賦課は口数の場合の負担の四分の一かあるいは三分の一の賦課になるはずです。民力という要素は廃止すべきと思います。門徒という観念の他に護持口という観念を持ち込んだ故におかしくなったのと同様です。単純に値弘誓の門徒数だけであらゆる問題に対処する事がわかり易い。

(ハ) の問題点。「拓く伝道」「お念仏の和を拡げる」ことによって拡がった門信徒について、第八代蓮如上人が継承して五年後と二十年後の本願寺門徒の数は同一のままとは言えない。小国組が五倍上がった事に対する意見の中に、過疎で有るのに増えた事は当時如何に実数からかけ離れていたかという意見がありました。五倍になった中味は当時が実数にかけ離れていた事を反省しただけではなく、前住職の代には手の届かなかった離郷門信徒への働きかけを後継住職が其々の寺で取組み過疎問題克服に励んでいるからであります。減っていた実数を微々たるも元々の実数に回復させ、増加させた住職も居る事で、実数が過疎になれば減るものという先入観では判断されない事を知って頂きたいものです。以上のような努力と洗濯自浄(実数からかけ離れている事を反省するという洗濯を小国組は僧伽らしく三帰依の石鹸を使って自浄)した結果が五倍の現象になった事をご理解頂きたい。

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軍隊のない国コスタリカから学ぶ  中山高光(熊本県原爆被害者団体協議会事務局長) [2005年1月1日号(第78号)]

 昨年夏に「軍隊を廃止した国・コスタリカ」を訪ねました。日本では平和憲法が守られずに海外派兵までやられ、憲法9条を廃止しようとする動きも強まり、それを許さないたたかいを取り組んでいるが、「非武装・中立」がいまいち核心にならない点があり、コスタリカではどうやっているのか知りたかったのです。

 日本でも実現できる
 コスタリカは、日本より二年後、1948年に軍隊を廃止し、翌年に憲法でそれを確定しております。しかもその後、「非武装・積極中立」政策を五十五年間も守り通しており、本当に軍隊がないのです。ホテル従業員やタクシー運転手も「軍隊はいらないよ」と笑って応えます。国民的な自信になっているのに感動しました。同時に、私たちが憲法9条を守り実行しようとしている政策は道理があり、実現可能であることに確信をもつことができました。

  教育と医療無料化
 コスタリカは、軍事費を無くして国家予算の三割(現在二・五割)を教育費に当て、義務教育費を無料にして識字率も先進国並の九二%に向上させ、医療の無料化も実現し、アメリカからも移住してくる人があるとのことでした。

  全ての難民を救済
 国土は九州と四国を合わせた面積。人口は400万人近くで約100万人はニカラグアなど近隣諸国からの移民です。「コスタリカ領土は政治的な迫害を受けたすべての者に対する政治的避難所である」と憲法にうたい、難民を救っており世界の諸国民に対するこの信頼と寛容さが軍隊廃止と一体になっています。

  どうして軍隊廃止を
 貧困と内戦の多い中南米で、この小国がどうしてこの偉業を?、一番知りたかったのはそれでした。
 1948年2月の大統領選挙で、対ニカラグア「平和的対話外交」をかかげた野党ウラテ候補が勝利したが、「アメリカ追随で対ニカラグア強硬政策」の与党が議会を巻き込み「選挙無効決議」で野党側を追放しました。これに野党側フレゲレス司令官らが武装蜂起して「軍要塞」を占拠、臨時政府を樹立し、第二次共和制発足式典(12月1日)で「軍隊はしばしば独裁体制によって国民を力づくで抑圧してきた、我々は民主的な話し合いの道を選ぶ、政権維持のための武器はいらない、不用なものは今日限りとする」と軍隊を解散したのです。翌年11月7日に「恒久的制度としての軍隊は禁止する」の憲法を制定し、軍隊のない国にしたのです。

  軍隊廃止はかねての願い
 関係者の話によれば「武装蜂起の中心になった若者たちはかねてから『都市と地方の貧富の格差、不公平の是正などに費用が必要なのに、戦争に費用をかけるどのような意味があるのか』と論議を重ねていたもので、フイゲレスの率いる武装蜂起は夢を持った若者らに支えられて成功したもので、常備軍廃止は彼らの論議の延長線上のもの」と説明されています。この話しは高齢になった私の胸を若き日の熱い夢で揺さぶるに十分なものでした。9条を守る運動に立ち上がる熊本の若者たちにも熱いエールを送りたいと思います。

  積極的な中立政策
 コスタリカの中立は「積極中立」で、中立を貫きながら隣国で紛争があれば双方に『対話での解決』を呼びかけ仲裁に当たります。
 1979年に隣国ニカラグア内戦のとき、アメリカ・レーガン大統領が経済援助と引き換えに軍事協力を求めたが、モンヘ大統領は『中立宣言を世界に発して各国の支持をとりアメリカの介入を抑えました。そのあとニカラグア内戦の双方調停に当たり平和協定を実現し、ニカラグアは1990年に8万の軍隊を15000に減らしています。南の隣国パナマとも話し合い、同年にパナマも軍隊を廃止し、それを根拠に1999年には米軍基地も撤退させ、パナマ運河の自主管理をなしとげています。

  憲法を守る国民運動が支え
 そんなコスタリカでも、対米追随政権が生まれ、政治家汚職も繰り返し起こり、選挙の争点になり、国民の選択で乗り越えています。最近では2003年3月に親米パチエコ大統領がアメリカのイラク戦争の支持署名、コスタリカが『有志連合』に名をつらね、国民の抗議運動と学生や弁護士の提訴で最高裁が『違憲』判決、政府がアメリカに撤回通知を出しています。
 日本でも、「アメリカ追随の憲法改悪」を打ち破る国民的たたかいこそ重要であると思います。(熊本市桜木在住)

平和をつくる教育―「軍隊をすてた国」コスタリカの子どもたち

平和をつくる教育―「軍隊をすてた国」コスタリカの子どもたち

  • 作者: 早乙女 愛, 足立 力也
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
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編集後記 [2005年1月1日号(第78号)]

◎護持口数は、宗門財政基盤確立の上から、一門徒で複数口の申告を願ってスタートしたが、それとは反対の結果が生じたと聞いています。しかも、現行の護持口数に対して、寺院間の不公平感の不満があり、歴代の総局は、これらの問題点を解決し、全寺院納得の上に賦課金や懇志の上納を願いたいとの思いから、今回の護持口調整が具体化したことです。

◎今号は、その委員の一人・禿氏に執筆いただきましたが、皆様より、今後の見直しを含め、それぞれの立場から、それぞれの思いを率直に述べて頂きたいと思います。ご投稿をお待ち申しています。

◎「軍隊をすてた国」コスタリカを訪れ、軍隊のない社会とは・・、との中山氏の話しを拝聴する機会がありました。今日の世界の「常識」、いま日本が目指している視点、それに対し、憲法に常駐の軍隊を持たないと明記し、「軍隊のないことが最大の防衛力」というコスタリカの現状を驚きを持って聞きました。

◎地球温暖化の影響で今年もまた複数の台風襲来が予想されるとか・・、何もかも不気味な方向へ向いつつあるような気がします。今年もご叱正ご教導の程をお願い申し上げます。(崇信)


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