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処方箋・米国の自己診断と客観診断  小国組・善正寺住職 禿 浩道 [2003年4月1日号(第71号)]

 米国の出方に危うい世上を懸念して今回の「こだま公開講座」は別院から街に出て巷の人々と共に考えてみようと、鶴屋東舘九階の「くまもと県民交流会館パレア」を会場に、ジャーナリストの斉藤貴男さんのお話を聞かせて頂いた。

 若い大学生にも聞いて欲しくて熊大校門前・学園大・県立大の校門前でも前もってチラシを配ったりもした。

 お蔭で道俗それぞれに沢山のご参加であった。

 斉藤さんには各地へ足を運び調べられた豊富な取材を根拠に、多くのこの国の危機的状況を解り易く語って頂いた。その内容はこの今回と次回に分けてお手元にお届けしますので、じっくり御読み頂きたい。

 お話の終了後、質疑に入り参加者から、この危機に対する処方箋は?という問いが出された。

 この事につき主催者の仏教徒としての立場から釈尊の示された苦を除く処方の方程式的教説をご紹介し応用してみたい。それは四諦八正道の法則で苦・集・滅・道という果因の次第で説かれている法則である。苦はどのような因縁が集まって起こった結果なのかという果から因をさぐって、苦の除かれた滅(果)を目指して正しい八つの道(因)を進み実践する所に本当の苦からの解放が成立するという道理である。八つの聖なる道とは正見・正思惟・正語・正業・正命・正精進・正念・正定と示されている。この仏道の手順はそのまま医道の手順でもある。

 処方箋というものは医者が苦をかかえて駆けつけた患者の病を先ず診察する事から始めて、原因を突き止め、それに基づいて病根を除く治療の方法を思惟してその事を処方箋に書き患者に告げ、その処方を患者に守らせ努力させ苦悩の除かれた治癒の状態へもってゆく。ここで最も肝心なのは最初の診察の所であり、ここで原因の把握を間違う(正見デキナイ)とその後の思惟・治療の方法を決定する処方箋も間違う。本当の苦の除去にはならず病は治らない事になる。

 社会の病も全くこれと同様であり、今差し迫った当面のイラク情勢に関して米国の自己診断の処方箋に対しジャーナリストの取材力を総合して、此れまでに報道され、それにより知りえた私の客観的思惟による処方箋を綴ってみたい。

 9.11の苦悩及びその後の細菌に怯えた苦悩が今後繰り返されないようにする為に米国は自己診断による処方箋をつくった。それがイラクの生物化学兵器が米国を苦しめる可能性を持っている。それを未然に防ぐにはイラクのそれを破棄させねばならない。

 素直にイラクが破棄しなければ武力でと拳を振り上げた状態になっている。

 この処方箋の欠点は米国の苦悩の根源の見方が自国に甘く他国に厳しいものである事が客観される。NHKの番組で米国とイラクの蜜月時代に米国からイラクへ生物化学兵器が提供されていたという真相がはっきりした。

 これは米国の身から出た錆による苦悩なのである。苦悩の原因の把握が米国の自己診断では他国にだけ向けられている。客観による診断ならば米国が開発した生物化学兵器の査察も必要であり、米国の生物化学兵器開発のヒントは東京裁判で、戦犯免責を与えて日本の七三一部隊が研究開発した細菌兵器の情報を米軍は得ている。其れによるものと推測される。

 今後米国ばかりでなくあらゆる国々が当事国にならないよう米国同様の苦悩に怯えないようにするにはそれらの根本原因の所も明らかに正しく見て、洗い出し、国際的注視のもと、まな板に載せて憂いの基を除去する取り組みが必要である。つまり当初、細菌兵器開発製造は戦争犯罪と目されていたもの、この経緯の解明と、今世界をそのような兵器の為に恐怖にさらしている根本原因を創造した事への日本の責任を日本が国連で謝罪し、イラク・米国が同時に生物化学兵器の破棄を国連管理の中で実施する事である。それでこそ本当の処方箋である。この方法が本当の世界中の心配の種、苦悩の根本の除去になり平和な無為楽につながる道である。

 以上仏説の苦・集・滅・道の苦を除く法則に基づいて今の課題に八正道を応用して綴ってみました。米国の処方箋では八正道の第一番目正しく見る。事が不十分で原因の把握が他国にだけ向けられている故に、それを実行すると更なる遺恨を買い、止め処ないテロと戦争の苦悩の雪だるまを生む事になり、偽の解決にしかならず、本当の苦の解決にはならない。という道理に是非気付いて頂きたい。(小国組・善正寺住職)

ナショナリズムの克服

ナショナリズムの克服

  • 作者: 姜 尚中, 森巣 博
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2002/11
  • メディア: 新書


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