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過疎における寺院の存続は?!    益東組・教蓮寺住職 平野 證眞 [2012年10月1日号(第109号)]

南阿蘇外輪の裾野に広がる風光明媚な標高400~500メートルに位置し、五ヶ瀬スキー場に隣接する農業 (米・トマト・ キャベツ・椎茸等) を基幹産業としている門徒、数十戸を抱えた清和村の中での小さな過疎寺院である。清和高原天文台、文楽人形の里と清和と阿蘇郡旧蘇陽町、旧矢部町の三ヶ町村が合併し山都町となり七年あまり経過している。

戦後から近年の急激な社会構造の変化に寺院はそれに追いついてないところがあって大きな岐路を迎えている。葬儀と墓地の在り方、意識の変化 (命そのものを軽視する傾向にある) 等、 また長寿社会になり死そのものの考え方やライフスタイルが変わってきている、このような諸問題に仏教はどう対処していくのか。

少子高齢化と人口の流失により門徒も年々減少の一途を辿っている。町の人口は約17900人前後で月に平均25名、多い月は50名位減少している。時には増える月もあるが(将来は限界集落にさえ?) 小・ 中・高に通学する子どもすらいない。寺院の合併等も考えなくてはならないのではと思う一方で、合併承認冥加金等が発生するなど、 実際は厳しいように考える。

寺院活動は、春・秋の彼岸会法要、報恩講法要等の法座を持つが高齢化と交通の利便が悪く、なかなかお詣りが難しい。(寺院としての取り組みをどう展開していくか) 聞法の場としての寺院機能と振興・教化が果たされていない。月忌等のお参りはなく、仏事が年に数回と葬儀が年に一回か二回程度である。また、寺院の中でも門徒戸数が多い寺院、少ない寺院と格差もあり、 門徒戸数が少い寺院は当然運営が厳しく何らかの方策を立てなくては近い将来廃寺に追い込まれるのではないかと懸念する。(ここでも解散承認冥加金発生?)他の仕事(兼業)をやりながら寺院を養っている寺もあるが、近場に勤めるところがなくなっている現状もあり厳しい。

近年本願寺賦課金 ・ 特に教区賦課金が高騰し納入困難状況にある(予算の約四割強は人件費・退職金等も予算化? 従来の門徒講金(第四種賦課金) 等を300~500円内に抑えて門徒戸数の実数を報告したらよいのではと思う。

当寺院は住職個人も相当負担して納付している厳しい現状です。こういった過疎の寺院には賦課金の点数を下げる、或は単価等を軽減設定する特例措置はできないものだろうか、このような寺院は外にもあるのだろうか、当寺院だけの問題なのかも知れない。寺院の修理、修復(これも住職個人でしている) 護持運営及び維持管理さえも儘ならない…。

以前熊本別院移転の話を聞いたことがあるが、 もしそうなって負担金等きたら、過疎の寺院にとっては大変な事だろう。(単立にとも考えたり!)

全国の過疎地域の寺院にも同様なことがあるのでは?また将来を担う寺院の後継者不足にも陥っている。後継者がいても職(他の仕事)がなければ寺を 養うことができない。これから過疎寺院互いの情報交換をしていく必要が大事ではないだろうか。

先に本願寺はアンケート調査を実施されたが、調査内容以上に過疎寺院の状況は厳しい現実にある。しかし難しいとは云っておれないし、なんとか維持教化 に頑張るしかない。

待つ寺から攻める寺へチェンジし、ネットの活用あるいは、 都市への積極的な開教をもとめていく等、何れにしろ、このままでは心のケア、開かれたお寺は、ご法義繁昌は勤まらない。お名号のお取りつぎは、坊さんとはどうあるべきか 過疎の寺院はかってない変革のときにきている…。

鐘つき堂.jpg


絶望の国の幸福な若者たち

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