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なぜ私たちの教団は 社会的発言をしなくなったのか    こだま編集局 [2014年10月1日号(第117号)]]

 安倍首相の靖国参拝や集団的自衛権の行使に大谷派は反対を表明しましたが、本願寺派は声明を出していません。「なぜ出さないのだろうか」という疑問より、宗会議員の藤岡崇信氏にその真相をお聞きしました。

藤岡…私は、宗会で何度も「社会の問題に、本派はなぜ真宗の立場を発言しないのか」と質問してきましたが、総局の基本姿勢は「それらは世間知の問題、真宗は往生浄土が中心である。靖国問題については例年、真宗教団連合で、政教分離の立場より、首相等の公式参拝は行わないように、という申し出を行っている。従って、改めて総長談話等は出さない」と言ってきました。
 宮崎で九州組長会があったとき、「集団的自衛権や原発の問題をどう思うか、御門主も発言されているが」という質問がありました。総長、総務に代わって教学伝道センター所長の丘山氏は「御門主が発言されている。私たちは御門主の発言に対して、粛々と実行していくだけ。総長談話等は必要ない」と答えました。

こだま…以前、本派は、首相の靖国参拝に反対する声明を出していましたが、何時から出さなくなったのでしょうか。
藤岡…何時からかはわかりませんが(註①)、急に変わりましたね。「門徒の中にはいろんな考えの人がいる。それらを考慮し、世間の問題には関わらない」という姿勢ですが、それは逃げの論理ですね。

こだま…実践運動は社会に積極的に関わっていこうという運動ですが、社会の問題には関わらないというのはどういうことでしょうか。
藤岡…最近やっと『連研ノートE』が出ましたが、作成段階で靖国と差別の問題は避けようという動きがあったと聞いています。それを基幹運動をやってきた人たちが押し返して、どうにか靖国・差別の問題を含めたものが出たのでしょう。
私は、戦後の本派の教化活動で有効だったのは念仏奉仕団、次いで連研ではないかと思います。中央教習に参加して、靖国や神の問題について、まさに筋金入りの門徒になって帰ってきた人たちがいます。連研で神、靖国の問題をやらないと、おざなりの研修になるのではないでしょうか。
もう一つは、以前の基幹運動の進め方にも問題があったのではないでしょうか。権力主義であったり、言葉狩りになったことで、みんなの支持を得られなかった点は、反省すべきであると思います。
こだま…実践運動になるとき、その反省からみんなで参画してやろうとなりましたが、どう変わってきたのでしょうか。

藤岡…社会の問題については発言しない、穏健な話し合いの場にしたいということではないですか?
こだま…国民が歓迎することはやるが、反発することはしたがらない印象があります。
藤岡…浄土真宗として避けて通れない大切な問題、そこを避けて安易な道を歩こうとする。しかし、その最後は自分の首をしめる結果になると思います。

こだま…この変化は実践運動に変わったころから出てきているようです。
藤岡…戦前、各宗教教団も、国の意向にそわなければ潰すという大弾圧を受けて、それに従ってきたという過去があります。そのことをもう一度考えてみなければ、いよいよ大きな深刻な状況になってから、あとがえりは無理だと思います。
 戦前の宗教政策は今もまだ生きています。真宗の本堂で神の問題等は語れないという雰囲気が十分にあります。そこをクリアしなければ、本当の真宗に入れない。この暗い過去の歴史に思いを馳せる時、特に今日声高に叫ばれる集団的自衛権や国家神道「靖国」への回帰に対し、私たちは信教の自由を護る立場からも断固反対の意志を表明しなければならないと思います。

註①…総長名で出された声明は2010年10月18日「アメリカ合衆国における臨界前核実験に対する声明」が最後のものとなっている。

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