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新護持口数調整を顧みて―一委員の感想―  玉関組委員 加藤慧雲 [2005年10月1日号(第81号)]

 一、はじめに
 今回の新護持口数の調整には結論が出て、教区内全寺院に数値資料が公開されました。
 今更申すこともありませんが、「こだま編集局」から依頼がありましたので、調整委員会審議を通して感じた一端を述べて、責めを果たしたいと思います。

 二、現行護持口数について
 審議資料の公開後、これは、新護持口数(以下「新口数」)の審議ではなく、現行護持口数(以下「現行口数」)の修正審議かと錯覚するほど、現行口数の不公平が激しく非難されました。

 現行口数はどのようにして確定したのでしょうか。

 現行口数は、教区内の全寺院の住職が、自分の寺の宗門護持能力の口数を、自からの責任において自主申告したもので、それがそのまま認められたといわれます。(二年くらい後に確認申告して、確定したという説もあります。)

 完全な自主申告ですから、組内会はあったかもしれませんが、教区による調整の必要はなかったはずですし、また、特に公開の必要もなかったと思われます。

 ところで、公平・不公平は、二つ以上の物事の間の均衡の問題ですから、初めからそれを考慮する必要のなかった現行口数を不公平というのは筋違いです。

 現に、賦課金や門徒講金でも、少なく申告したA寺のために、多く申告したB寺が被害を被っているとは考えられません。

 三、目標護持口数有無の相違
 しかるに、今回の調整は、宗派が教区に割り当てた目標護持口数(以下「目標口数」)を、教区内の全寺院に配分する作業です。

 つまり、現行口数のときのような申告数の積み上げとは逆の作業ですから、今回の最重要課題は、どのようにして目標口数を469ヶ寺に「公平に」配分するかということになります。

 何故なら、今回は、A寺が不当に少なく配分されれば、その差を、B寺が余分に負担しなければならなくなるからです。

 なお、目標口数30184口は、現行口数の教区合計43285口の約70%ですから、約30%の減少になります。単純に考えれば、各寺院は現行口数より約30%分少なくなる計算です。

 四、調整の基本的な考え方
 調整委員会は、「目標口数」配分の基準として、「門徒数」(いわゆる「B案」)を用いることを決定しました。
 その「B案」を用いて、初期の段階で確認されていた「調整の基本的な考え方」を述べますと、①各寺住職が「B案」を順守した門徒数を報告し、②その報告数の教区合計で各寺の報告数を割って比率を出し、③「目標口数」にその比率を掛けると、④各寺院の口数は算出できる。⑤生じた誤差を調整することになります。
 そのためには、「各寺住職がB案を順守した門徒数を報告すること」が、大前提となります。

 五、上・下限を用いた調整案
 調整の終盤に、上限・下限を設けて、複雑な数式で切り下げ・切り上げを行って調整しようという新たな提案がありました。
 この新提案は、先に述べた「基本的な考え方」に抵触するものであります。
 また、これは、審議を進めるための打開策でありますが、同時に、報告数の中にB案を順守していないものがあることを暗に認めたものでもあります。
 これでは、公平性の確保はできないと言わざるを得ません。
 委員会は、この時点で、①各組に対して改めて「B案」順守の修正を命じるか、あるいは、②暫定的な新口数を検討するかを決断すべきだったと考えます。

 六、当初の「見直し」の意味
 また、当初確認された「見直し」は、公平に配分された新口数について、過疎・過密等の社会情勢の変化に応じて見直すことでした。
この「見直し」は未だ検討されていませんが、忘れてはならない重要な約束であります。

 七、今後の課題
 今回の調整において、最重要課題であった「公平性」を確保できなかった理由は明らかです。
 もしこの事態を打開する道があるとすれば、それは唯一「住職の良心」の眞の目覚めにかかっていると思っております。
 終わりに、凡愚の不得要領の感想で申し訳なく存じます。ご容赦下さい。        合 掌

浄土真宗聖典―註釈版

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  • 作者: 教学伝道研究センター
  • 出版社/メーカー: 本願寺出版社
  • 発売日: 2004/06
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