創刊雑誌「DAYS JAPAN」紹介<世間虚仮・唯仏是真> 禿 浩道(こだま編集長) [2004年1月1日号(第74号)]
昨年8月31日、内牧・明行寺にて、教区第3ブロック仏教壮年大会が開催された。写真家森住卓氏がイラクで取材した写真を説明しながらの講演であった。それはブッシュ前々大統領が湾岸戦争時に使用した劣化ウラン弾が、今どのような被害をもたらしているか?が歴然とする話であった。
この弾は、10センチ以上も厚みのある装甲車に穴を開けて使用不能にするだけでなく、黒焦げになった装甲車は、放射能を発散し続けるという。被爆者は白血病患者となったり、内蔵破裂、無脳症、小頭症の子供たちが多数生まれ、苦悩している姿を写真はとらえていた。広島や長崎の被爆者の子供にも小頭症の方が生まれていたと同じ現象である。
現ブッシュ大統領は、イラク攻撃に際し、イラクが大量破壊兵器と生物化学兵器を所持しているということを大義名分にした。相手国イラクの大量破壊兵器、つまり核兵器を問題にしながら、父の使用した劣化ウランの核兵器は問題にすることなく、自らも再び五百トン爆弾を浴びせている。イラクの人々の苦悩は更に今後も長く尾を引くに違いない。50年前の日本人の苦悩と同じである。
この苦悩の中で日本人が国是として生み出した事柄は、非核三原則である。しかし今回の総選挙で非核三原則は殆ど語られなかった。核を使用する米国を支持するということは、かってわが国が経験した苦悩を他国が受けることになるが、今回は他国のこと故に是認するということだろうか。
これは諸外国の目に、日本は身勝手な国と映るであろう。この国は、今日わずか50年余にして非核の精神の節度を失おうとしている。 9.11のテロが悪であるからテロの根源を断たねばならない、という論法によって戦争が始まったが行動を起こす前に、何故テロを起こしたかという正確な点検がなされてきただろうか。我々真宗者がしっかりこの点検について言及する時が今ではないだろうか。
9.11が起こるには当然、それ以前「因・縁」があったはずである。しかし今日まで、その因縁の部分について正視する話があまり聞かれない。ジャーナリズムが及び腰ではないか。
第三ブロック仏壮大会の森住氏の取材による講演で諦らかに見えてきた事は、今次イラク戦争で米国が報じている事に「やらせ」や作り話の偽りがあるという点である。
バクダットでサダムフセインの銅像を戦車で引き倒す場面をテレビで見せつけられたが、米軍がシーア派を連れてきて、倒させている場面を映像化したもので、カメラの視野に入らない所にいたイラク人は、銅像の引き倒しに関係していなかったという。このように虚偽の報道を通して戦争遂行を正当なものと見せかける虚仮なる振る舞いが実行されている。
釈尊は苦の果が起きたらその因縁を正確に把握すべく、如実知見による正見を説かれる。「だましのカメラ」は正確な因縁の把握を妨げる。
このような現状に危機を感じた人々が、日本に流れ込む作為のニュースではない真実を伝えたいと雑誌の発刊を企画しておられる。この雑誌発刊の柱を「★人間の命と自然を守るためのキャンペーンを進める雑誌 ★権力の監視をするというジャーナリズム本来の役割をする雑誌 ★調査報道の雑誌」と掲げています。
虚仮でない是が真実という部分を私たちが見ることができるよう私はこの雑誌の発刊を期待しているし、皆さまにもご講読をお勧めする次第です。知り方が「痴」でなく、「智」の知り方を通して、いま世界がテロ根絶に「戦争というテロ」を正当化している状況に対し、私たち国民の手で正確な点検が成し遂げられますように。(小国組・善正寺住職)
DAYS JAPAN (デイズ ジャパン) 2006年 10月号 [雑誌]
- 作者:
- 出版社/メーカー: デイズジャパン
- 発売日: 2006/09/20
- メディア: 雑誌
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