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発刊70号に寄せて  「こだま」編集局 [2003年1月1日号(第70号)]

     『こだま』の歩み
 1985年(昭和60)年11月13日に創刊された本紙『こだま』は、本号をもって70号を迎えることとなりました。足掛け18年の間、年四回の刊行を欠けることなく継続できましたことは、原稿をお寄せ下さった方々はもとより、本紙の趣旨に賛同して支援して下さった多くの方々のお力添えによるものであり、ここに改めて深甚の謝意を表したいと思います。本当に、有難うございました。

 本紙の創刊は、藤岡崇信・現宗会議員の立候補に端を発したものでありましたが、その後は単なる選挙運動にとどまることなく、宗門の現状に対する多くの方々の意見表明の場となり、また、それに対する応答が響きあい、大きな“こだま”となることを願って発刊を続けてまいりました。

 教区内はもとより全国から、また宗門内にとどまらず、神道やキリスト教の方々からも原稿が寄せられ、宗政や教学の問題のみならず、布教の現場や寺院の活動についての実践報告などが寄せられたことは、編集に携わる私どもにとって大きな喜びとなりました。

 創刊号より第15号までは、原稿を手書きしてプリントするという、文字通りの手作業でしたが、16号以降はパソコンを使っての紙面となり、時代の移りを感じさせます。とはいえ、教区内の全寺院と賛同者に郵送する作業は結局手作業によるほかはなく、終了が深夜に及ぶことも度々でしたが、多くの方々のご協力を得て、それもまた楽しい時間でありました。

    こだま文庫
 また、こだま編集局では、本紙の発刊に加えて、より多くの方々にご縁を広げたいとの思いから、門信徒に配布する施本を作成し、ご希望の寺院におわけするという活動を続けてまいりました。その内容は以下の通りです。

第一号『信じること疑うこと』小山一行・著
第二号『いのち輝け──初参式に寄せて』藤岡崇信・著
第三号『大悲の宗教――裁かざる如来』禿浩道・著
第四号『生死を見つめて』島北皎誓・著
第五号『法城を問う 法灯を見つめて 法味をよろこぶ』(は「こだま」三十号を記念して、今日までの原稿の中より抜粋)
第六号『久遠のいのち』小山一行・著
第七号『普通人の佛教』外海卓也・著

たくさんの寺院からお申し込みがあり、一部百円でおわけして、伝道のお役にたてればと願ったことでした。

    こだま公開講座
 さらに編集局では、現代の宗門が抱える様々な問題を取り上げ、広く一般の方々と共に考える場を持ちたいとの思いから、熊本別院を会場として公開講座を開催してまいりました。講座の内容、及び御講師は次のような方々でした。

1990年「大嘗祭を考える」細見神社宮司・遠藤道丸先生
91年「現代における仏教の可能性」明治学院大学教授・阿満利麿先生
92年「念仏者の菩提心」九州大谷短大教授・宮城 先生
93年「日本的原理と親鸞思想」龍谷大学学長(当時)・信樂峻麿先生
94年「普遍宗教としての浄土真宗―国家主義、現世主義を超える道」明治学院大学教授・阿満利麿先生
95年「浄土真宗の平和学――本願文に学ぶ」同朋大学教授・尾畑文正先生
96年「老病死を超える道」東国東広域病院院長・田畑正久先生
97年「真宗に未来はあるか」筑紫女学園大学教授・小山一行先生
98年「いま真宗をどう捉えるか」龍谷大学元学長・信樂峻麿先生
99年「浄土真宗の戦争責任――歴史に学ぶ真宗者の未来」西山短期大学助教授・菱木政晴先生

2000年「真宗の過去と未来と―『神の国』・『神道真宗の狭間の中で』龍谷大学教授・福島寛隆先生
01年「真宗の今日と明日を問う――宗教の『倒錯』と『軽視』の世情に」明治学院大学教授・阿満利麿先生

 毎回100人前後の参加者があり、共に浄土真宗の現在と未来を考える機会を得られましたことを慶んでおります。

    未来に向かって
 18年の歩みを振り返ってみますと、その間には宗門の内外において、昭和天皇の死去、蓮如上人五百回遠忌法要、オウム真理教事件、前門様のご往生等、様々の事がありました。私たちのささやかな試みは、それなりの問題提起として意味があったと自負してはおりますが、浄土真宗をめぐる状況は、相変わらずの課題を抱えているように思われてなりません。

  「ごまめの歯ぎしり」であったとしても“継続は力なり”と信じて、これからも活動を続けてまいりますので、どうか変わらぬご支援をお願い申し上げます。


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