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続・自治会の「政教癒着」に抗して(終)  藤岡崇信 [2001年1月1日号(第62号)]

 去る九月、組連研受講者は、前号で記した佐賀の「信教の自由と自治会を考える会」事務局のF住職の自坊を訪ねました。

 裁判の財政的支援とこの問題に対する市民の理解と意識の浸透等々に奔走されるF住職は、気負うことなく今日までの歩みを次のように語られたのでした。

  ※    ※    ※
 私は今まで町内会費に神社関係費が含まれているだろうと感じてはいたが、周囲に波風を立てたくないという思いもあり、聞きただすとか、会計報告書に目を通すということはしなかった。

 そのような中、A氏の人権侵害のことを知り、今まで私が出来なかった問題に敢然と立ち向かうA氏をせめてしっかり支援したいという思いで事務局を引き受けた。

 そして四月、私に自治会班長の役が巡ってきたが、そこで判明したのは、私の地区でも自治会費に護国神社と地元二神社への奉賛金が含まれていたということです。

 私はこれを機会に、自治会長に自治会の性格と、信じてもいない神社の護持費を取られることの苦痛を訴えました。後日の自治会総会では提訴の影響もあり、神社費は徴収しないと決議されました。

 にも拘らずその後、自治会長と神社総代名で「日本の氏神さまを尊重することはわが国の美風である。伝統文化を守るべく、任意でいいから神社奉賛金を徴収してほしい」という文書が全班長宛に送付された。私はそれを無視していたが、後日当班の神社向きの人が徴収したということを聞いた。

 そのため、私は再度皆の理解を求めるべく「班の皆さまへ」と次の文書を配付した。

「有志の方が神社奉賛金を集めて回られたそうですが、班長として神社費集めはいたしません。鳥栖市では自治会による神社への奉賛金強制で人権侵害事件が起こり、訴訟にまでなっています。この件は慎重であるべきです。奉賛金を出したい方は、自ら神社にお参りして出されたらいいのではないでしょうか。様々な信仰や考えの方がおられます。『任意で』と言おうとも自治会や班が特定の一宗教に関わることはすべきではありません。これを機会に見直しを始めませんか。

 左記のことをお伝えします。
一、来年度からも班として神社奉賛金や同類のお金を集めることに同意しません。
二、班費からの出金はお断りします。また班費から出し、反対する人には後で相当金額を返金するやり方は、心の問題を金銭にすり替えることです。以上私の意思を明らかにし、お伝えします。           年月日  氏名 N F

 佐賀での現地学習後間もなく、拙寺の前仏壮会長で現自治会長のKさんが、自治会長として宗教関係費の徴収を止めたらしい、ということを人づてに聞きました。

 仏壮の例会時に確認すると、地区の役員を集めて、自治会費と区別はしていたものの、今まで地元の神社と古刹の維持費を徴収していた問題を話し合い「今後、当地区では信教の自由の理念に基づき、自治会長として宗教関係費の徴収は致しません。そちらで選任して下さるようお願いします」という趣旨の文書を、二宗教法人宛に送付したということでした。

 早速、秋祭りと秋彼岸会の上納金はストップしたのです。大方の反応は驚きの中に自治会長に批判的な声のようですが、それに対し仏壮会員が真宗者として、また憲法の立場からの正論をもって弁護サポートしている現状です。

 F住職の後日談によると、年末には自治会長より配付の依頼状を添え、大麻とお札と神社だよりが送付されてきたが、早速それを返送し、班長としてそれらを配付する意思のないこと、また班長がすべきことでもないことを伝えたというのです。

 全く耳を貸さない相手に対し、「いたちゴッコ」を繰り返しながら、明年三月までの自分の班長任期中に一歩でもあるべき方向へ進めたいと語るF住職とまたKさんの歩みは、はるか彼方の目標をしっかり見据えながらの実践であり、私には『常精進菩薩』と仰がれるのです。〔託麻組真行寺住職〕

高校生からわかる 日本国憲法の論点

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  • 作者: 伊藤 真
  • 出版社/メーカー: トランスビュー
  • 発売日: 2005/07/05
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