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宗教者に期待すること  石田博文(平和憲法を活かす熊本県民の会・事務局次長) [2008年1月1日号(第90号)]

 「国及び公共団体は、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超える宗教教育その他の宗教的活動であって、宗教的な意義を有し、特定の宗教に対する援助、助長若しくは促進又は干渉となるようなものを行ってはならない。」(自民党改憲案・第20条第3項「信教の自由」)。 
 「公金その他の公の財産は、第20条第3項の規定による制限を超えて、宗教的活動を行う組織又は団体の使用、便益若しくは維持のため、支出し、又はその利用に供してはならない。」(自民党改憲案・第89条「公の財産の支出及び利用の制限」)。 

 靖国神社への公式参拝が憲法で認められれば、戦前のように、各自治体が競って靖国参拝へ駆けつけるでしょう。そのうち学校単位で靖国詣でを始めるでしょう。戦争は、ある日突然始まるものではありません。好戦主義者は情勢を熟成させながら、仕掛けを一段ずつ進めるのです。そういう意味では、「戦争」はもう始まっているのかも知れません。天皇の権威を高めるために神道が利用され、仏教、キリスト教が弾圧されました。西南戦争からの戦死者を靖国に祀ったように、天皇のために命を落とした軍人を神にしたてることでアジア侵略の精神的支柱としました。今再び、この道を歩もうとしているのです。
 
 私たちも含めて、「憲法を守ろう」「憲法を活かそう」との願いをもって、多くの平和運動、市民運動があります。しかし、残念ながらそれぞれがばらばらに活動しています。それでも大きな意味はあります。一つのグループ、一つの団体では、包摂しきれない多くの市民を小さくても多くのグループが、網の目のように張り巡らすことで、隅々まで手が届くからです。大切なことは、これらの多くのグループ、団体が「憲法9条を守る」という一点で総団結しなければならないことです。


 宗教者の方たちは、宗派などの違いを超越して平和のために憲法第9条を守る、という願いで結集されています。心から敬意を表します。


 熊本での平和運動を見るとき、「くまもと9条の会」が組織され、そこに参加するグループの立場をお互いが尊重し、協力しあって活動しています。こうした平和運動への宗教者の方たちの参加は大変心強いものです。


 平和運動に政党が参加することは、当然なのですが「政党に利用される」と受け止める方もおられます。国政選挙での護憲政党の大同団結は大きな意義を持っています。統一した選挙母体を組めば、政党に結集しきれない多くの平和を願う方たちが参加して来るからです。2007年7月の参議院選挙では、学者・文化人の方たちが護憲統一団体「9条ネット」を呼びかけましたが、共産、社民とも参加せず独自で選挙を戦い敗れました。統一戦線の経験のない日本の弱さでもあります。

 護憲勢力の団結を、私ども「平和憲法を活かす熊本県民の会」は呼びかけています。改憲手続法である「国民投票法」が安倍内閣のとき成立しました。まだ、多くの国民が国民投票になったら勝てる、と思っています。しかし、改憲勢力である自民党、財界は、学者やマスコミを動員して改憲の方向をリードしてきます。改憲阻止のグループや団体がバラバラで対抗しても吹き飛ばされてしまうでしょう。改憲勢力には、国民投票のやり直しはない、という強い意思で全体制をフル動員して仕掛けてくるのです。


 これからの数年、 憲法を巡る情勢は急展開する可能性があります。その時になって慌てないためにも、改憲阻止の大きな団結の輪が大切なのです。


 宗教者の皆さんは、損得を離れた強い信念がおありです。信念に基づいた行動力ほど強いものはありません。一人でも多くの方たちに平和の尊さ、憲法改悪の真意を語りかけて下さい。平和を願って行動するグループ、団体に統一して行動することの大切さを呼びかけて下さい。

超日本国憲法

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  • 作者: 斎藤 貴男, 鈴木 邦男, 潮 匡人
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/11/07
  • メディア: 単行本

 


 ともに手を取り合って頑張りましょう。


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