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死を縁として  未来税務会計事務所長 西田尚史(法名・徳尚) [2009年1月1日(第94号)]

 私は、熊本市内で税理士事務所を開き、お客様の税務会計を始めとして、経営についても中小企業経営者の良き相談のアドバイスが出来るように昼夜努力をしております。

 最近景気は段々悪くなり、建設業においては、公共事業の減少で上場株式会社でも倒産する時代です。仕事が無くノイローゼや髪の毛が抜けていく人もいます。製造業も、中国産であることでメラミンやギョウザ事件後いろいろと販売が難しくなり、中には廃業を決意せざるを得ない状況の人もいます。それに国内での三笠フーズの事故米、消費者や知らずに購入して製造した酒メーカーや和菓子屋さん等、被害に遭われた方は言葉で云い尽せないほど可哀想で同情せざるを得ません。食に対する安全性が欠けますと、企業を存続させることが出来なくなります。

 農業においても、五年前と比べて年々所得が下がって売上げは伸びず、原価コスト高はガソリンの値上げがもとで肥料・農薬・資材が上がっています。

 一昔前のバブル時代には、資金繰りが出来ず、自分の生命保険で債務を返済し妻子を守られた方があり、バブル崩壊後は相続税が支払えず、やはり生命保険で支払われた方がおられます。

 経営者の自殺、なんと悲しい残念なこと。

 経営は人間、人がするもの。経営の勉強で得たものでより、基本は心でするものではないか。人は心次第でどんなにでも変えられるものだろうに、人として生きることとは、自殺・生きる・いのちとは何だ、どういう事かと悩みました。

 「人間、必ず一回は死ぬとだけん、急いで死なんでよか」と、死のうとする人にどう説得出来るのだろうか。死んで極楽浄土があるのだろうか。浄土真宗とは・仏教とはどんな教えなのか。

 私は、このような人間の根源的宗教課題につき、中央仏教学院通信教育で学ぶことができ、僧侶となりました。

 中央仏教学院は、普通三年間で卒業ですが、私は勤式が不得手で六年かかりました。実技試験になると、思うように声と調声が合わず、お経だけ三回落第しました。得度習礼でも最後までお経の合格印がもらえませんでした。習礼時での私のニックネームは「音痴菩薩」でした。

 得度後、いろんな通夜やお葬式にお参りしますが、私以上にお経が不得手な方もおられますし、惚れ惚れするような有難いお経を称えられる方もおられます。

 また、法話も時機にあった心に響くお話をされる方もおられるし、聞いていても心に打つものが無い話をされる方もおられます。

 僧侶を職業として、読経や法話に専念することは大変難しいことだと、つくづく思います。まして、無宗教の現実社会にあっては尚更のことだと思います。

 私は、お寺を拠点として法務に専念する僧侶にはなれません。専ら税理士の仕事をする僧侶です。

 しかし、「金がないばかりに追い詰められて死を選ばれた人、それは死をもって金に代え、妻子や債権者を救われた人であり、債権者に自己の責任を支払われた人なのです」(合掌・念仏)

 私は、この重い事実を原点に僧侶となりました。

 身近な経営者の自殺から、何を学んだかと言えば、全ては金であり、金への執着心であり、そして死ぬまでその煩悩を捨て得ぬ自分自身の心であります。

 「田があれば田に悩み、・・・田がなければ田を欲しいと思い悩む、・・・、たまたま、ひとつ得られると他のひとつが欠け、これがあればあれがないというありさまで、・・・みんなやっとこれらのものが揃ったと思っても、それはほんの束の間で、すぐにまた消え失せてしまう」『佛説無量寿経』

 「人は、この世の愛欲の絆につながれて生きているが、・・・独り生まれ、独り死に、独り来て、独りゆくのである。・・・全ては自分自身がその責任を負わねばならない。だれも、これに代わることはできない」 『佛説無量寿経』

 「凡夫とは、われわれ人間のことであるが、まことの智慧がなく、煩悩がその身にみちみちて、・・・いのち終わるまで、止まらず、消えず、絶えぬ」 『一念多念文意』

 仕事上多くの経営者やその関係者と接しますので、それを共にみ教えを聞く機縁とし、「いのち」のよりどころ、お念仏の道を歩みたいと願っています。〔山鹿組・光正寺衆徒〕



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  • 作者: 森 達也
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2008/08/29
  • メディア: 単行本



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