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ミャンマー旅行記「なぜ?」「仏教徒ですから」  託麻組 専念寺住職 甲斐晃裕 [2016年4月1日(第123号)]

【敬虔な仏教徒】
仏塔の都バガン、夕食を終え、ガタガタ道をバスで帰っていると、闇の中からぬっと前を塞ぐようにトラックが現われました。荷台に人が溢れ、子どもの姿も見えます、転がり落ちないようにロープが二重に回してありました。ミャンマーは学校が3か月の夏休みに入ったばかり、数家族で巡礼に向かう人たちでした。有名な寺院やパゴダ(仏塔)で、僧院に泊まりながら巡礼する多くの家族を見ました。寺院やパゴダに参拝するときは、靴下も脱いで裸足になります、跪いて合掌し深く三度の礼拝、その後横座りの姿勢で祈りささげます。子どもや若者の礼拝の姿は大変美しいものでした。

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【一大儀式の得度式】
古都マンダレーで美しく着飾った一団を見ました。「結婚式?」「いいえ、得度式です。これから多くなります」7歳から15歳までに殆どの男児が得度式を受けるのです。お釈迦さまに習い、皇子の格好で侍者を従え町中を回り、それから高僧のもとで剃髪得度して、一週間ほど僧侶の生活を送ります。祝宴もあり大儀式になるので、結婚すると得度式のための資金を貯めるのだそうです。お金のない家には、親戚や村人が寄付を集めて費用を出すといいます。20歳過ぎに、もう一度剃髪入門するのが一般的で、その中で発心した者だけが残り、僧侶の道を歩むことになります。

女性には尼僧院が別にあり、剃髪得度は同じです。男性の赤茶の僧衣ではなくピンクの美しい僧衣でした。4月8日には多くの女性(外国人も可)が剃髪して短期入門するので、尼僧院が一杯になるそうです。

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【旅の恥】
旅の楽しみの一つ・・ミャンマー産のビールにワイン、ラム酒も頂きましたが、旅行者用でした。酒好きの性で、現地の人は何を飲んでいるのか気になります、インドと同じくヤシ酒だろうか?尋ねてみると「中には飲む人もいますが、ほとんどお酒はのみません」「えっ、なぜ?」「仏教徒ですから」二の句が継げない・・僧侶のように二二七の戒律は守れなくても、五戒は守るのがミャンマー仏教徒の生活の基本なのでした。

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【信頼と信仰】
ミャンマーを走っている車はほとんどが日本の中古車(熊本バス!が走ってた)でした。壊れにくいということで、家電も日本製が人気だそうです。対日感情は良く、ミャンマーでは日本製品への信頼がそのまま日本・日本人に対する評価となっているようでした。蛇足ですが長い国境線を共有するインド・中国・タイの評判はよくなく、隣国と仲良くできないところは似ていますね。

人々は、早朝の托鉢、二二七の戒律を厳密に守りながら、パーリー語の経典を学び、瞑想を繰り返す僧侶の生活、生き方(どれほど困難なことか経験している)を心底から敬っています。多くの僧侶の生活を支えていくのは大変なことですが、教えを守り、学び、修行する「僧」が自分の身近にいることを大切に思っているのです。僧たちの生活を支えながら、僧(身近な理想)[→]法(僧の生き方の指針)[→]仏(法の源泉)という方向で仏陀に対する信仰、帰依が伝承されているのだと感じました。彼らが日常使っている日本製品に対する信頼が、そのまま日本・日本人に対する信頼に繋がっているということと、身近な存在の僧侶の生活、生き方に対する敬意が仏法、仏陀に対する信仰を深めているという形が重なって見えます。教法に生きる人「僧」に対する信頼こそがミャンマー仏教徒の信仰の基盤なのだと感じました。(こだま編集部員)

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